夢のカケラ


今日、夢を見た。
君が僕の隣に寄り添ってくれている。僕の手を握っていてくれている。僕の目を見てくれている。
君は何かとりとめもないことを言っている。

そんなことはどうでもいい、君がそばに居るこの時間をずっと感じていたい。
君が怒ってる。きっと話を聞いていなかったからだろう。

むくれている君がいる。
僕が謝る。君はそれでもむくれた顔をしている。それでもあたたかい君の手は、僕の手と重なっている。

何をしたら機嫌が直ると聞いても、君はただむくれた顔を僕の胸にうずめている。

僕は考えていた。こうしている時は何かしないと機嫌が直らない。


でも、そんな僕の胸にうずめている君の顔も、僕はたまらなく好きだ。
思いついたように僕は君の名前を呼んだ。君はまだむくれて顔をうずめている。
もぅ1度呼んだらこっちを少しだけ向いてくれた。



その瞬間に僕は君にキスをした。その柔らかく、可愛らしい頬に。
君はその頬を真っ赤にしつつ、僕に笑顔を見せてくれた。たまらなく安心と可愛いという思いが出てくる。

僕は君を抱きしめた。君は少し苦しそうに僕の胸を叩いた。僕は少し慌てて抱きしめた腕を緩める。

そうすると、君はその華奢で、今にも崩れてしまいそうなほど細い腕で僕に抱きつき、僕の頬にキスをした。



まるで子猫が甘えるその姿に似ていた。
そこで君が僕を呼ぶ声が聞こえた。

夢のように僕の隣に寄り添っていてくれて、僕の手を、その小さな手で包み込んでくれている。

僕が君の名前を呼ぶと君は照れくさそうに、僕の胸に顔をうずめた。
ずっと君と一緒にいよう。僕が、いつもそばに居てあげるから。
君も、僕のそばに居て欲しい。



心からそう願った。