夜空と花火と僕ら



空は綺麗な夕空になっている。

夏空に射すその綺麗な赤とも、オレンジともとれない色が

全ての生き物を優しく包む。


遠くで祭囃子がなっている。

それを聞いて君と僕の心は高鳴る。

地元の、あまり大きくない祭りだ。

それでも二人で来ると

全ての光が淡く、雰囲気をかもしだしている。


空はゆっくり夜に染まっていく。

それにつられてか

屋台の光や月明かりが

先ほどまで出ていた赤く、魅力的な光とはまた違う魅力を感じさせてくれる。

君はその雰囲気に魅了され、いつもよりはしゃいでいる。

そんな君がたまらなく可愛かった。




金魚すくいに子供のように真剣になり

そしておまけでもらった金魚に満面の笑みを浮かべている君がいる。

自然とそんな雰囲気にのせられてか

二人は手をつないでいた。

なんの不自然さもなく

ただ手をつないだことだけでも

二人は笑っていた。



気が付けば空は夕空から深く蒼い、夜空へと変わっていた。

二人は少し祭りを離れ

河原へと足をのばした

ついたら人はちらほらしかいなかった

二人は座り、先ほどまでの出来事を話し、笑いあっていた。




そろそろ時間だよ。

彼女はそういう


そうか、もうそんな時間か。

二人は会話を少し止めて、夜空を見た。


夜空には大輪の花火が咲いた。

隣で彼女は歓声を上げていた。

僕もしばらくその迫力に目を奪われていた。

少したつと花火も小休止となり、時間も少しあいた。

その時


彼女は僕の肩に寄りかかってきた。



ずっと…こんな時間が続けばいいのに

そう言う彼女はどことなく、寂しそうだった



ずっと続くよ

ずっと、ずっと僕がそばにいてあげるから


そう言うと僕は彼女の肩を抱きよせた

彼女をずっと


離さないように…




そんな二人を見守るように

夜空にはまた大輪の花火が咲いた。