天国の本屋 第4章
夜の鍋は美味かった。
親父さんは見かけに寄らず器用だ。
といったら親父さんに頭をしばかれた。
それを見て彼女は笑っていた。
飯食べたら風呂に入るように勧められた。
実際今日はいろいろ頭が一杯だったので風呂に入ってリラックスしたいと思っていた。
風呂はまき風呂だった
自分で火を入れ、自分で湯加減を見ながら入る。
入っている時、ぼーっと湯煙を見つめながら
その奥に彼女を見ていた。
「どうかしてるよ俺・・・」
実際どうかしていると思う。
初めて会った女の人にただ接しただけなのに
目の前は彼女のことばかりになっていた。
「やな男だ・・・」
そういいながら湯船にブクブクと沈んだ。
(子供か俺は・・・)
そう思いながら湯の中から見えるぼやけた天井と窓の月を見ていた。
「親父さんお風呂上がっ・・・」
「あ、あがってきたあがってきた。じゃあ次私はいりますね。」
葵がこんな時間までいるとは思わなかった。
そして自分の後湯に入るとまでいう。
「ちょ、親父さんなんで…」
「あれ?いけませんか?」
ずいっと自分の前にでてきて胸を張られた。
「いや・・・そういうわけじゃなくて・・・」
「なら全く問題なしですよ。」
そういうと葵は風呂場へそそくさと行った。
「あ、見ちゃだめですよ蒼士。」
「・・・見ません。」
彼女はさもご機嫌のようだった。
「親父さんもしかして彼女泊めるとか言わないですよね。」
「お前が襲わなければ何も問題ないだろ。」
親父さんは飯の後片付け後の一服と新聞を読みながらそう言った。
「・・・楽しいんだろうよ彼女も。」
「え?」
「早く上あがって寝ろバカたれ。」
親父さんは新聞に眉を細めながらそれ以上は何もいわなかった。
[to be continued・・・]