愛する人
夕方、電車に揺られながらぼーっと夕日を見てた。
ついうとうとして、気がついたら数駅進んでいた。
目の前に、さっきまでいなかった親子がいた。
まだ小さい男の子は、今日のおでかけでだいぶ疲れてしまったらしく、すでにうとうとと、目を重たくさせ、少しすると寝てしまった。
お母さんもその子の寝顔を見てるうちに、自分も疲れてうつむいて、夕日の中夢の中へいったよぅだった。
気づいたことがあった。
それはお母さんが眠りながらもしっかりと男の子を抱き寄せ、その子を守ってるように見えた。
それを見て、自分も小さい時はこんな感じだったのかなと思った。
幼き頃の母のぬくもり。
その守られてるという実感がなくても、幼い子供だった俺を母は側にいていつも見ていてくれた。
と、そのお母さんが起きて男の子を起こした。
どうやら次の、自分も降りる駅で降りるらしい。
男の子はまだ眠いその目を擦りながら起きた。
駅について降りると、やはりその親子も一緒に降りた。そして二人は、手をつなぎ、今日の夜ごはんの話をしながらホームの階段を降りていった。
僕にはそのたわいもない普通の親子が、この優しく紅い光の夕日よりも、暖かく優しい、綺麗だと思った。
そして幼き日の母と、今も変わらず支えてくれる母に
ありがとう…
そう心の中でつぶやいた。